事業内容
1998年(平成10)、石川県と福井県の県境に位置する石川県旧白峰村(現、石川県白山市白峰)において「白山高山植物馴化(じゅんか)試験」が始まりました。
これは現代の自然保護理論に基づき、白山に自生するブナ帯以高の種子植物の全種類(545種類)の栽培・育成を試み、あわせて絶滅危惧種を含む種の保全、植生復元、緑化等への活用のためのノウハウを探ろうというものです。
これまでに400種類以上の植物種の馴化試験に着手。
石川県が発行する「いしかわレッドデータブック(植物編)」に記載されている絶滅危惧Ⅰ類、Ⅱ類、準絶滅危惧、絶滅のおそれのある地域個体群など全232種類の約80%にあたる184種類の植物を育成し、種の保全のためのノウハウを蓄積しました。
特筆すべきは、栽培にクローン技術や無菌培養などを用いず、すべて種から栽培を行っていることです。
環境省は「従来、特定の種に限定した保護増殖事業は行われてきた例があるが(レブンアツモリソウ等)、白山山系といったような一つの生態系に属する全種を対象としたものは恐らく前例がなく、画期的である」というコメントでこの事業を評価しています。
今後は、この先駆的な試みをさらに充実させ、将来的には生物多様性保全の観点からも、白山に自生する種子植物全種(1321種)を栽培・育成し、白山の植物を丸ごと保存するという壮大な計画を持っています。
白山高山植物馴化試験の概要
■目標
白山に自生するブナ帯以高の種子植物全種類(545種)の栽培・育成を試み、究極的には白山に自生する種子植物全種(1321種)を栽培・育成すること、それらによって絶滅危惧種をはじめとする種の保全、植生復元、緑化等のノウハウを蓄積すること。