吹く風も肌に涼やかな午後、白山高山植物園へ。青い空に負けないくらいに、ヤマハハコは相変わらず元気。
キク科の花を期待して・・・しかし、アサギリソウはふっくり蕾。リュウノウギクは、蕾固し。そんな中で水はけの悪そうな?斜面にイワギクの花。何だか白い春菊が咲いているように見えました。
昨年、雨の中、白山禅定道を歩いた時、ガレ場を覗いたら白い菊のようなものが・・・。望遠で撮影された花は、イワギクのようでした。 撮影 濱谷留広氏
一番最初に見たのは、岩間の噴泉塔へ向かう道沿い。野生の花とは思えない佇まいに感動した記憶が蘇ります。
そんなイワギクは、石川県では準絶滅危惧。そして、国レベルでは、絶滅危惧Ⅱ種だそうです。生育地が限られ、個体数も少ないからだとか。道路工事や園芸採取が危険要因。自然の中で出逢う感動をずっと・・・。温室では小さな苗たちが猛暑の夏を越えて育っています。
そのお隣には、ゲンノショウコの花。ちょっと前まできれいな花を見せてくれたハクサンフウロの親戚です。「現の証拠」と云う意味で、乾燥させた葉を煎じて飲むとすぐに腹痛なども良くなることからついた名前のようです。ドクダミやセンブリなどと共に民間薬の代表です。 フウロソウ科フウロソウ属
しかし、植物たちはこの炎天下でも花をつけ、実をつけています。タムラソウが咲いていました!キク科タクムラソウ属のこの花は、一見するとアザミに似ていますが、似て異な点は、刺がないこと。三ノ峰への登山道沿いで見かけた時には、感激しました。何しろ、初めての花に出逢う喜びといったらありません。これは、図鑑のアザミの項あたりの・・・タムラソウ!!思いの他、背の高いきれいな花の写真を何枚も撮りました。タムラソウは、別名玉箒。タムラソウの語源は不明ですが、玉箒は、枝が箒状になり、その先に頭花がつくからである。と牧野植物図鑑にあります。
三ノ峰への登山道沿いは、白山の観光新道や別山道、釈迦新道に匹敵するようなお花畑が続きます。そして、他の登山道沿いでは出逢えない花々にも出逢える道です。三ツ谷から杉峠、六本檜を経て登るルート(余り利用されていない道のようです)もありますが、福井県の鳩ヶ湯から上小池を経て登る道がメインルート。今からだと夏の残りの花と秋の花に出逢えるでしょう。
先日、訪れた時には、山手にある庭に高山植物を植えて整備する為に、白山高山植物研究会の面々が池の中の清掃を行なっていました。その時、話にでた亀石は、植物に覆われていて確認する事が出来ませんでした。今日、立ち寄った十郎右衛門家。池の周りの木々が整理され、池の中にくっきりと亀の姿が・・・。その変貌ぶりと見事な庭に驚いてしまいました。
亀石や蓬莱山が配置され、神仙思想に基づいた庭造りがされています。庭を一目見ての森さんのお話は、天領時代白山麓十八ヶ村の取次元を長く務めた山岸家の格式を物語っています。亀石の池の周りが、森さんによってどんな風に整備されていくのか楽しみですね。
シナノナデシコが花をつけていました。岩間の噴泉塔へ行く道沿いで、タカネナデシコに比べて背が小さく園芸種のようなナデシコがあるぞと見たのが、シナノナデシコとの初めての出会い。スーパー林道でも車を止めて見入りました。
イモリ池のガマは生育が良く、今年は刈り取らねばなりません。乾燥した葉でタビノを作るのが楽しみ・・・。きれいな高山植物も低地の植物もこの地域の人々の生活に深く関わっていた頃を感じた8月初旬の植物園。暑さの中、種取りの作業が続きます。
